みなさん こんにちは
福マチ(福祉のお仕事マッチングサービス)職業紹介のコラム担当の”のりみ”です。
ケアマネジャー(介護支援専門員)は利用者のケアプランを作成し、福祉サービスを提供するのが仕事です。
ケアマネの仕事の大変な点は通常の業務に加え、法制度の変更・利用者や家族と施設側の板挟みなどの問題に臨機応変に対応し、高品質のケアサービスを提供することが求められる点が挙げられます。
今回は、
- ケアマネジャーの仕事が大変と言われる理由
- どんな人がケアマネの仕事に向いているか
- メリットやデメリット
について詳しくご紹介していきます。
◆ケアマネジャーの仕事が大変と言われる4つの理由
ケアマネジャー(介護支援専門員)は利用者のケアプランを作成し、ケアが適切に行われるためにマネジメントする仕事です。
そんなケアマネジャーの業務が大変だと言われる理由を4つご紹介します。
業務量が多い
ケアマネジャーは仕事の量がとても多いため、こなすのが大変だと感じる方も多いです。
ケアマネジャーの仕事はケアプランの作成や自治体、関連機関との連携が主な仕事とご説明しましたが、関連する業務は山ほどあります。
ケアプランを作成する際、利用者本人とその家族と面談を行い、日常生活を送る上での課題や困難に感じていることをヒアリングし、課題を明確にし、希望にあったプランを作り、ケアプランが適切かモニタリングして修正し・・・と工程ごとに手間と時間がかかります。
利用者の居宅に訪問する居宅ケアマネは、要介護者の居宅には月1回以上、要支援者の場合は3か月に1回以上の訪問が義務付けられており、各種事務作業やミーティングなどをこなしながら1日に複数の利用者宅に訪問してモニタリングするのは簡単ではありません。
介護施設や入居施設で勤務する施設ケアマネは主に施設内での業務を行いますが、ケアマネ1人あたりの担当人数が多くなるため、日々の業務を効率よくこなさなければなりません。
また、事業所や施設によっては人手不足によって、ケアマネジャーが相談員など他の職務を兼務することもあります。
ただでさえやることが多いのに他の仕事もしなければいけないのは厳しいと、転職や退職を考える方もいます。
ケアマネジャーの業務については、こちらでも詳しく解説しています。
以下の記事も合わせて、ご覧ください。
介護制度は変化のスピードが速い
介護の制度や法律はその時々の状況に合わせて改正を繰り返してきました。
たとえば介護保険法は3年に1回、介護報酬は2年に1回改定されますが、2024年には介護保険法・介護報酬ともに改定される予定です。
その都度、介護職従事者は新しい制度の内容や事務手続きの方法を覚えなければなりません。
ケアマネジャーは日々変わりゆく法律や自治体の介護・福祉サービスなどの制度を把握するだけでなく、制度に変更があった場合は利用者とその家族が納得するよう説明し、新しいルールに則ったケアプランを作成する必要があります。
また、介護報酬の請求もケアマネジャーの仕事のひとつなので、各種制度が変更されると事務作業にも少なからず影響が出ます。
利用者への責任が重大
ケアマネジャーは、利用者の介護の方向性や内容を決める重要な役割です。
利用者がどのようなケアを受けるかによって生活が大きく左右されるので、強くプレッシャーを感じる機会もあるでしょう。
- 自分が作ったケアプランが利用者のためになっているのか
- 利用者個人の希望や課題が考慮されていないのではないか
- 客観的に必要だと考えられるサービスが不足しているのではないか
- 区分支給限度基準額に余裕があるという理由だけで過剰なサービスをケアプランに追加していないか
- 利用者の心身の状態を考慮せず事業所のサービス利用を組み込んでいないか
- 医療関連など専門的なケアが必要な状態なのに事業所のサービスで代用していないかなど、自分が作成したケアプランが適切か?という点に悩んだり、事業所の方針との板挟みで疲弊してしまう例もあります。
適切なケアプランが作成できてないのではないか、とお悩みの時は以下の方法を試してみましょう。
- ケアマネジャーが複数いる事業所の場合は相談してみる
- 地域包括支援センターのケアマネジャーに相談する
- 研修会や合同事例検討会などで他の事業所のケアマネと意見交換する
施設側と利用者の間に挟まれる
ケアマネジャーは利用者と利用者の家族の希望を聞きながら、心身の状況にあったケアプランを作成するのが主な業務ですが、施設や事業所の方針にも従わなければなりません。
そのような板挟み状態がストレスとなり、仕事が大変だと感じる人もいます。
ケアする側のことを考えない経営側からケアプランや業務に関する無理な指示をされた経験がある人もいるでしょう。
有料老人ホームなど民間企業が経営している施設だと、悪質な場合、企業が利益優先するために不適切なケアプランを進めるようプレッシャーをかけられることもあるようです。
時には利用者やその家族から無理難題を強いられたり、法改正など事業所レベルでは変えられない問題の責任を問われたりすることもあるかと思います。
たとえば、
- 介護の範疇を超えた要求をしてくる(家事や家の雑務をやらせようとする)
- 家族が利用者に関係ない相談に乗るように要求する
- ケアマネや介護職員、ヘルパーなどに個人的関係を持つよう強要してくる
- 他の利用者よりも特別扱いするよう求める
などがよくある事例です。
事業所の管理・経営側からの指示や利用者と家族からの要望があまりにも無理な内容の場合、ハラスメントに該当する可能性があります。
厚生労働省では、介護現場におけるハラスメント対策を公開しています。
また、神奈川県では介護現場におけるハラスメントに関する相談窓口を設けています。
利用者や家族、事業主から身体・精神的暴力を受けたり、なんらかのハラスメント行為を受けた場合はご相談ください。
◆ケアマネジャーに向いている人の特徴
ケアマネジャーに向いている人の特徴を4つ解説いたします。
利用者に寄り添える共感力のある人
ケアマネジャーは最適なケアプランを提供するため、利用者と家族との信頼関係の構築が非常に重要です。
生活に関することはプライバシーですし、介護や支援を受けることを恥ずかしいと感じてあまり要望を話したがらない利用者の方もいます。
今どのような状態か、どんなことに困っているか、どんな生活スタイルを目指しているのかを明確にするためには、利用者への共感や寄り添う姿勢が不可欠です。
しかし、共感しすぎてはいけません。
介護は生活の全てを代わりにやってあげるのではなく、支援や介護が必要な状況であっても可能な限り自立的に生活を送るためのサポートをすることです。
客観的にどのような状態かを判断できるように常に程よい距離感をキープしましょう。
感情移入をしすぎて過剰なケアを提供しようとしたり、介護保険の対象外のサービスを求められるまま応じてしまうことのないよう、冷静に対応できる人がケアマネジャーに適しています。
コミュニケーション能力がある
ケアプラン作成のための面談やモニタリングでは、ただ話を聞くだけではありません。
- 生活の中でどんな不自由があるか
- どんな生活を送れるようになりたいか
- 利用者の家族の介護面での希望は何か
といった要素を明らかにし、利用者と家族に共有しなければなりません。
利用者は介護についての知識があるわけではないので、どんな点を話せばいいか分からないという方も多くいらっしゃいます。
面談やモニタリングでは利用者本人や家族が言葉にしづらい、または気づいていないニーズを探ることも重要です。
例えば、「介護がしんどい」「日常生活は自分で送れるようにしたい」「外出できるようになりたい」と利用者が思っていても、言葉にできない、あるいはどのように表現すればいいか分からないことも少なからずあります。
利用者や家族の様子、表情や言動などにも注意しながら、話しやすい雰囲気を作りつつニーズを徐々に探っていくのもケアマネージャーに必要なスキルです。
また、ケアマネジャーが関わるのは利用者とその家族だけではありません。
- 他業種(医師、看護師、介護職員、社会福祉士、管理者など)
- 地域住民
- 他事業所の従業員
- 自治体の担当者
- その他関係機関の担当者
など、ケアマネジャーの仕事は色々な立場の人とのつながりの中で成り立っています。
人の話をしっかりと聞いて、要点を整理できる能力を身につけましょう。
事務作業が得意
ケアマネジャーは利用者との面談、ケアプラン作成、モニタリング、諸会議議事録など事務作業する機会が非常に多い職種でもあります。
また、複数の作業を平行して進めなければならないので、事務作業やマルチタスクがそれほど苦手ではない人がケアマネジャーに向いています。
慣れないうちは業務の優先順位をつけたり、効率化できる部分はないか見直すなど時間管理のトレーニングをしましょう。
常に学び続けることができる
ケアマネジャーは、臨機応変さやフットワークの軽さが大事な仕事です。
介護や支援を必要とする高齢者の方の状況は、それぞれに異なっています。
「適切な介護プランを作成する」と言葉で言うのは簡単ですが、身体的制約があるのか、精神的にサポートが必要なのか、認知症はあるのか、など症状の種類や程度によって適切なケア方法は異なります。
ひとりひとりの状況や要望に応じたサポートをするためには、介護・医療・生活支援など様々な分野の知識が必要ですし、それらは日々新しい情報が出ます。
その時々で必要なケアプランを作成して、利用者をサポートするための学びには終わりはありません。
そこにやりがいを感じる方はケアマネジャーの適性があると言えるでしょう。
◆ケアマネジャーとして働くメリット
ケアマネジャーとして働くことは、どのようなメリットがあるのでしょうか。
色々なスキル向上に役立つ
ケアマネジャーは、実務能力・タイムマネジメント力・情報収集力・コミュニケーション能力など様々なスキルが必要な仕事です。
最初は大変かもしれませんが、様々なスキルが身に付きます。
これらのスキルは転職やキャリアアップにも役立つでしょう。
将来的にも需要が高い
ケアマネジャーをはじめ、介護職の需要は今後も高まると予測されています。
その理由は高齢者人口の増加です。
現在でも高齢化社会による諸問題が社会的に注目されていますが、2042年には高齢者人口がピークの3,878万人に達すると予測されており、ケアマネジャーをはじめとした介護職の需要は今まで以上に高まるでしょう。
参考:今後の介護保険をとりまく状況 総務省
※https://www.soumu.go.jp/main_content/000454019.pdf
現在、高齢者の医療・介護・予防・生活ケアができる包括システムの構築・普及に国を上げて力を入れており、利用者のケアプランを作成し自治体や関連機関との連携を行うケアマネはより重要な存在になるかもしれません。
フレキシブルな働き方ができる
ケアマネジャーは、正社員の他にもパートタイム勤務やフリーランスなど様々な働き方をしている人も多くいます。
それぞれの生活スタイルや家庭の事情に合った働き方を選択できるのも大きなメリットと言えるでしょう。
作業量は多いものの、力仕事ではなく事務作業やミーティングといった業務が多いため、介護職の中でも比較的長く続けやすい職種でもあります。
また、数は多くないものの、効率化のためにフレックス制やリモートワークを取り入れる事業所も徐々に増えており、今後はさらに柔軟な働き方ができるようになるかもしれません。
やりがいのある仕事
ケアマネジャーは、利用者の今後の生活に大きな影響を及ぼす責任ある仕事です。
それはプレッシャーでもありますが、利用者に合ったサービスを提供できることは大きなやりがいでもあります。
利用者や利用者の家族が喜んでくれた
利用者と信頼関係を築けた
介護サービスを受けることで利用者が良い状態になった
このような時に、仕事にやりがいを感じることが多いようです。
◆ケアマネージャーならではのデメリット
ケアマネージャーの仕事におけるデメリットについてご紹介します。
時間配分がしにくい
ケアマネジャーが担当する業務は多岐にわたります。
たとえば、介護施設などで勤務する施設ケアマネの1日の業務は、
ケアプランの作成や申請書類などの事務作業
利用者、入居者へのモニタリング
サービス担当者会議
ケア記録やモニタリングシートの作成、プラン見直し
などがあります。
施設ケアマネの場合配置基準は入居者100人に対し1人以上なので、最大で100人分の作業を行わなければなりません。
担当人数が多い場合は業務の時間管理が課題となります。
それぞれの作業に時間がかかる
利用者の居宅を訪問する居宅ケアマネは、1日に複数の利用者を訪問してモニタリングを行い、その結果をモニタリングシートにまとめます。
状況にもよりますが、1件あたりのモニタリングにかかる時間は数分~30分程度で、長い場合は1~2時間かかることもあります。
その合間に、事業所や関係機関とのミーティング、事務作業、サービス内容の確認やプランの見直しなどの作業もしなければならず、それぞれの作業に時間がかかります。
勤務時間内で業務が終わらず、残業が続くというケアマネージャーも少なくありません。
こうした問題を解決するために、介護現場におけるICTの利用促進が進められています。
全体で見るとICTを導入している事業所はまだ少ないですが、厚生労働省のページからソフト選びの要点や参考資料などが確認できます。
業務の効率化にお悩みの方はお役立てください。
介護現場におけるICTの利用促進|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-ict.html
◆ケアマネージャーとして成長するなら福マチで転職も視野に入れよう
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まとめ
ケアマネージャーは、利用者と事業所、自治体との橋渡しとして日々様々な業務を行います。
責任ある立場なので大変な部分もありますが、利用者の生活をよりよいものにする大きなやりがいを感じる仕事です。
福マチと可能性ラボでは、ケアマネージャーの転職やケアマネージャーへのキャリアアップをサポートしています。
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