介護の現場では、
「夜中に何度も起きてしまう」
「昼間にうとうとしている」
「夜になると眠れないと言う」
といった相談を受けることがあります。
高齢になると睡眠に変化が現れることはよく知られていますが、その理由や特徴については意外と知られていないこともあります。
今回は、介護職として知っておくと役立つ「高齢者の睡眠雑学」をご紹介します。

「年を取ると睡眠時間が短くなる」は半分正解
よく、「高齢者は睡眠時間が短くなる」と言われます。
確かに加齢によって睡眠時間は少し短くなる傾向があります。
しかし実際には、\眠る能力がなくなるのではなく、深く眠る時間が減る/
というのが正しい表現です。
若い頃は深い睡眠(ノンレム睡眠)が長く続きますが、
高齢になると浅い睡眠の割合が増えます。
そのため、
「何度も目が覚める」
「眠った気がしない」
と感じやすくなるのです。

実は“昼寝”が悪いわけではない
介護現場では、
「昼寝をすると夜眠れなくなる」と言われることがあります。
もちろん長時間の昼寝は夜間睡眠に影響します。
しかし研究では、
15~30分程度の短時間の昼寝は認知機能や集中力の維持に役立つ
とされています。
問題なのは昼寝そのものではなく、
・夕方近くまで寝てしまう
・1~2時間以上寝る ことです。
\短時間の昼寝は、むしろ健康維持につながる場合があります。/

「朝日」は天然の睡眠薬
高齢者施設で生活リズムが整う利用者様と、そうでない利用者様の差として大きいのが「朝の光」です。
朝日を浴びると、脳内でセロトニンが分泌されます。
そしてこのセロトニンは、夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンの材料になります。
つまり、
\朝日を浴びることが、夜の良質な睡眠につながる/
ということです。
朝の散歩や窓際での日光浴が勧められるのには、こうした理由があります。

夜中に起きる原因は「トイレ」だけではない
夜間の覚醒というと、「頻尿」が原因と思われがちです。
しかし実際には、
* 室温が高すぎる
* 室温が低すぎる
* 日中の活動量不足
* 水分不足
* 脱水による口渇
なども関係しています。
特に意外なのが水分不足です。
「夜間トイレが心配だから」と夕方以降の水分を極端に減らした結果、喉の渇きで目が覚めてしまうケースもあります。

実は“寝る力”にも筋力が関係する
あまり知られていませんが、適度な運動習慣は睡眠の質に大きく関わります。
日中の活動量が少ないと、体が十分な疲労を感じられず、
夜になっても眠気が起きにくくなります。
特に下肢筋力の低下によって活動量が減ると、昼夜逆転や不眠につながることがあります。
\介護予防として行う体操や歩行訓練は、実は睡眠改善にも役立っているのです/

「寝だめ」はできない
利用者様の中には、
「昨日眠れなかったから今日はたくさん寝る」
と言われる方もいます。
しかし睡眠は貯金のように蓄えることができません。
むしろ長時間寝過ぎることで生活リズムが乱れ、さらに夜眠れなくなる悪循環に入ることがあります。
\大切なのは、毎日ほぼ同じ時間に起きることです/

まとめ
高齢者の睡眠には、以下のような特徴があります。
* 深い睡眠が減る
* 短時間の昼寝は必ずしも悪くない
* 朝日が睡眠の質を左右する
* 水分不足が睡眠に影響する
* 活動量と睡眠は深く関係している
介護現場では「眠れない」という結果だけを見るのではなく、
その方の生活リズムや日中の過ごし方にも目を向けることが大切です。
\睡眠は健康の基本です/
普段何気なく見ている利用者様の睡眠も、少し視点を変えて観察すると新たな気付きがあるかもしれません。
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