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2026.10.9

2026年10月1日から「カスハラ対策」が義務化 ~介護職を守るために、知っておきたいカスタマーハラスメント~

「利用者さんやご家族から厳しい言葉を受けたけれど、これも介護職として我慢するべき?」

 

介護の仕事では、利用者やご家族からの相談・要望・苦情に対応する場面が少なくありません。

しかし、要求の内容や言動が社会通念上許容される範囲を超え、介護職員の働く環境が害される場合、それは「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に該当する可能性があります。

 

2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務となりました。

 

介護現場でも、職員個人が対応を抱え込むのではなく、事業所として職員を守る仕組みを整えることが、これまで以上に重要になります。

 

 

そもそも「カスハラ」とは?

 

厚生労働省は、職場におけるカスタマーハラスメントについて、次の3つの要素をすべて満たすものとしています。

 

  1. 顧客、取引先、施設の利用者など、事業に関係する人からの言動である
  2. 社会通念上許容される範囲を超えた言動である
  3. その言動によって労働者の就業環境が害される

 

つまり、利用者やご家族から苦情を受けたからといって、すべてがカスハラになるわけではありません。

 

サービスについての正当な苦情や改善を求める申し入れは、カスハラとは区別して考える必要があります。

 

 

介護現場では、どんなケースが考えられる?

 

例えば、次のような行為はカスハラに該当する可能性があります。

 

・暴言・威圧的な言動

 

「役立たず」「こんなこともできないのか」など、職員の人格を否定するような発言を繰り返す。

 

・過度な要求

 

介護保険サービスの範囲を超える対応を求めたり、事業所のルールを無視して特別な対応を繰り返し要求したりする。

 

・長時間にわたる拘束

 

正当な理由なく職員を長時間拘束し、何度も同じ要求を繰り返す。

 

・威嚇・脅迫

 

「言うことを聞かなければSNSに書く」「責任者を出せ」など、威圧的な言動で対応を迫る。

 

・暴力・物を投げるなどの行為

 

身体的な危害を加えたり、物を投げたり、職員の安全を脅かしたりする。

 

ただし、認知症などの症状や障害特性によって生じる言動については、単純に「カスハラ」と判断するのではなく、利用者の状態や背景を踏まえた対応が必要です。

 

厚生労働省も、カスハラ対策を進める際には、消費者の心理や障害特性、認知症の症状などへの理解を深める研修等が望ましいとしています。

 

 

「苦情」と「カスハラ」はどう違う?

 

ここは介護職にとって特に重要なポイントです。

 

例えば、

「サービスの内容について納得できない。説明してほしい」

 

これは、適切な方法で行われる限り、正当な苦情・申し入れとして対応する必要があります。

 

一方で、

「気に入らないから担当者を辞めさせろ」

「土下座しろ」

「言うことを聞かなければSNSに名前を出す」

 

など、要求の内容や方法が社会通念上許容される範囲を超えている場合は、カスタマーハラスメントに該当する可能性があります。

 

大切なのは、「利用者・家族からの苦情=カスハラ」としないこと。

 

同時に、「利用者だから何を言われても我慢する」という考え方もしないことです。

 

 

2026年10月1日から、事業主に何が求められる?

 

2026年10月1日から、事業主にはカスタマーハラスメントを防止するための措置が義務付けられます。

 

主な内容は、

・カスハラに対する事業所の方針を明確にし、職員へ周知する

・職員から相談できる体制を整える

・カスハラが発生した場合、迅速かつ適切に対応する

・カスハラを抑止するための措置を講じる

・相談した職員のプライバシーを守る

・カスハラについて相談したことを理由に不利益な扱いをしない

などです。

 

つまり、これからは「何かあったら、その職員が何とかする」という対応ではなく、事業所として対応する体制づくりが求められるということです。

 

 

介護職が一人で抱え込まないことが大切

 

介護の現場では、利用者との信頼関係を大切にするあまり、

 

「自分の対応が悪かったのかもしれない」

「利用者さんだから仕方ない」

「大きな問題にしたくない」

 

と、一人で抱え込んでしまうことがあります。

 

しかし、カスハラへの対応を個々の職員だけに任せることは、職員の心身への負担につながります。

 

厚生労働省も、介護現場では事業所や職員だけで対応することが難しいケースがあるとして、自治体、地域包括支援センター、医師、ケアマネジャー、法律の専門家、警察など、関係機関・職種との連携を進めています。

 

困ったときには、

「自分だけで解決しなければならない問題ではない」

と考えることが大切です。

 

事業所として、今あらためて確認しておきたいこと

 

2026年10月1日からカスタマーハラスメント対策が事業主の義務となりました。

 

介護事業所では、次のような点をあらためて確認しておくとよいでしょう。

 

□ カスハラに対する事業所の基本方針が決まっているか

□ 職員が相談できる窓口・担当者が明確になっているか

□ カスハラが発生した場合の対応方法が決まっているか

□ 管理者への報告基準が共有されているか

□ 職員一人で対応させない仕組みがあるか

□ 利用者・家族への対応ルールが職員間で統一されているか

□ 認知症や障害特性などを踏まえた対応について職員が理解しているか

□ 必要に応じてケアマネジャーや関係機関と連携できる体制があるか

 

2026年10月1日から始まる新しいルールをきっかけに、自分たちの事業所の対応方法を一度見直してみてはいかがでしょうか。

 

【参考資料】

 

・厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」

・厚生労働省「あかるい職場応援団/カスタマーハラスメントとは」

・厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策の今後の対応

 

 

 

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