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2026.9.7

これって労働時間? ~介護職が知っておきたい「労働時間」の基本~

介護の仕事では、実際に利用者様のケアをしている時間だけが「労働時間」とは限りません。

 

たとえば、

* 始業前の朝礼や申し送り

* 勤務時間外に行われる研修や勉強会

* 休憩中の電話やナースコールへの対応

* 終業時刻を過ぎて行う記録や業務

など、「これって勤務時間に入るの?」と判断に迷う場面があります。

 

また、「仕事が終わらないから」と職員が自己判断で残業しているケースもあるかもしれません。

労働時間について正しく理解することは、職員が適切に働くためにも、事業所が適切に労務管理を行うためにも重要です。

 

今回は、介護現場でよくあるケースを取り上げながら、「労働時間」の基本を確認していきましょう。

 

 

そもそも「労働時間」とは?

 

労働時間にあたるかどうかを考えるうえで重要なのが、

「使用者の指揮命令下に置かれている時間かどうか」

という考え方です。

 

厚生労働省のガイドラインでは、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に当たるとされています。

 

また、労働時間に該当するかどうかは、就業規則などに「勤務時間」と書かれているかだけではなく、

実際にどのような状況で仕事をしていたのかを踏まえて客観的に判断されます。 ([厚生労働省][1])

 

では、介護現場ではどのような場面が該当するのでしょうか。

 

 

ケース① 始業前の朝礼・申し送り

 

「朝礼は8時30分からなので、8時20分には来てください」

 

このように、始業時刻より前に出勤して朝礼や申し送りへの参加を求められている場合、その時間はどうなるのでしょうか。

 

業務として参加が義務付けられている場合、原則として労働時間に該当すると考えられます。

 

たとえば、

* 毎朝の朝礼への参加が義務付けられている

* 利用者様の情報共有のため、申し送りへの参加が必要

* 始業前に業務上必要な準備をするよう指示されている

といったケースです。

 

「朝礼だから仕事ではない」「短時間だから勤務時間には含めない」と単純に考えるのではなく、

その時間に事業所から参加や業務を求められているかが重要になります。

 

 

ケース② 研修・勉強会

 

介護現場では、感染症対策、認知症ケア、身体拘束・虐待防止など、さまざまな研修が行われます。

 

では、勤務時間外に行われる研修はどうでしょうか。

 

ここでもポイントになるのは、参加が義務付けられているかどうかです。

 

業務として参加を義務付けられている研修や勉強会は、原則として労働時間に該当します。

 

たとえば、

「全職員参加必須」

「勤務終了後に研修を実施するので参加してください」

といった場合です。

 

一方、参加するかどうかが本人の自由に委ねられ、業務との関係も薄いものであれば、労働時間に該当しない場合もあります。

 

「研修だからすべて労働時間」「勤務時間外だからすべて対象外」と決めつけず、実際の参加状況や事業所からの指示などを踏まえて判断することが大切です。

 

 

ケース③ 休憩時間中の電話・ナースコール対応

 

介護職にとって、休憩時間についても判断に迷うケースがあります。

 

たとえば、

「休憩中でもナースコールが鳴ったら対応してください」

「電話が鳴ったら出てください」

「利用者様から呼ばれたら対応してください」

と言われている場合です。

 

休憩時間とは、本来、労働者が仕事から離れて自由に利用できる時間です。

 

そのため、

* 電話対応を求められる

* 利用者様への対応を求められる

* ナースコールへの対応を求められる

* 何かあればすぐに業務へ戻るよう求められる

 

など、実質的に仕事から離れることができない状態であれば、その時間が労働時間と判断される可能性があります。

 

「休憩時間」という名前が付いているかどうかだけではなく、実際に自由に休憩できる状態だったのかが重要です。

 

 

ケース④ 終業時刻を過ぎて仕事をする「残業」

 

介護の現場では、

「記録が終わらない」

「申し送りがまだ残っている」

「利用者様の対応が長引いた」

など、予定していた勤務時間を超えて仕事をすることがあります。

 

ここで大切なのが、残業を職員が自己判断で行わないことです。

 

残業が必要になった場合は、原則として事業所のルールに従い、上長に報告・相談し、許可または指示を受けてから行うようにしましょう。

 

上長の許可や指示を受けることで、

* 本当に残業が必要なのか

* どの業務を優先するのか

* 何時まで残業するのか

* 労働時間をどのように記録するのか

を事業所側と確認できます。

 

「仕事が残っているから、自分の判断で少しだけ残ろう」という働き方が常態化すると、労働時間の管理が不明確になってしまいます。

 

そのため、残業が必要な場合は、上長への報告・相談を徹底することが大切です。

 

なお、「上長の許可を取らずに残業した=その時間は労働時間ではない」という意味ではありません。実際に使用者の指揮命令下で業務を行っていた時間については、労働時間として適切に把握・記録する必要があります。 ([厚生労働省][2])

 

 

「残業しないと仕事が終わらない」場合は?

 

ここも重要なポイントです。

「残業は禁止だから、定時を過ぎたらタイムカードを切って仕事を続ける」

という働き方は適切ではありません。

 

もし、毎日のように定時までに業務が終わらず残業が発生しているのであれば、個々の職員が抱え込むのではなく、

 

「なぜ残業が発生しているのか」

 

を事業所として確認する必要があります。

業務量、人員配置、記録業務、申し送りなど、原因を整理し、必要に応じて業務の進め方を見直すことも重要です。

 

厚生労働省も、使用者には労働時間を適正に把握・管理する責務があるとしています。 ([厚生労働省][3])

 

 

「労働時間かどうか」を判断するポイント

 

ここまでのケースを見てきましたが、共通するポイントがあります。

「その時間、仕事をしていたか?」

だけではなく、

 

「事業所の指揮命令下に置かれていたか?」

 

という視点で考えることが重要です。

 

たとえば、

 

朝礼

→ 参加を義務付けられている?

 

研修

→ 業務として参加を求められている?

 

休憩

→ 本当に仕事から離れて自由に過ごせている?

 

残業

→ 必要な場合に上長へ報告・相談している?

 

というように、具体的な状況を確認していきます。

 

 

介護現場でチェックしてみよう

 

普段の仕事を振り返って、こんな時間はありませんか?

 

始業前に朝礼や申し送りをしている

始業前に業務の準備をするよう求められている

勤務時間外の研修への参加が義務付けられている

休憩中も電話やナースコールに対応している

休憩中に利用者様の対応をすることがある

「何かあったらすぐ戻って」と言われて休憩している

終業時刻を過ぎても記録や申し送りをしている

残業が必要でも、上長への報告・相談をせず自己判断で残っている

「残業禁止」と言われながら、仕事を終わらせるために勤務終了後も仕事をしている

 

一つでも気になる項目があれば、現在の職場のルールや実際の勤務状況を確認してみましょう。

 

 

 

「当たり前」になっている時間を見直そう

 

介護の仕事では、利用者様へのケアを優先するあまり、

 

「少し早く来て準備する」

「休憩中でも呼ばれたら対応する」

「仕事が終わらないから少し残っていく」

 

といったことが、いつの間にか「当たり前」になってしまうことがあります。

 

しかし、こうした時間について一度立ち止まって考えることは、職員を守るだけでなく、事業所の適切な労務管理にもつながります。

 

また、残業については「残業をしないこと」だけを目標にするのではなく、必要な残業が発生した場合に、上長が把握し、適切に管理できる仕組みをつくることも重要です。

 

 

まとめ

 

労働時間にあたるかどうかを考えるときには、

「その時間に何をしていたか」だけでなく、「事業所の指揮命令下に置かれていたか」

という視点が重要です。

 

朝礼や申し送り、研修、休憩中の対応、終業後の残業など、介護現場には判断に迷いやすい場面がたくさんあります。

 

そして残業が必要な場合は、職員が自己判断で行うのではなく、上長に報告・相談し、事業所のルールに沿って適切に管理することが大切です。

 

一方で、上長の許可を得ていなかったという理由だけで、実際に労働した時間が労働時間ではなくなるわけではありません。

実際の勤務実態を正しく把握することも、事業所側に求められます。 ([厚生労働省][1])

 

「昔からこうだから」

「みんなやっているから」

 

と済ませるのではなく、日頃の働き方を一度振り返ってみることが大切です。

 

制度を正しく知ることは、自分自身と職場を守る第一歩になります。

 

 

※労働時間に該当するかどうかは、実際の勤務状況、事業所からの指示・命令の内容、就業規則等によって個別に判断されます。本記事は一般的な情報を紹介するものであり、個別の事案について法的判断を行うものではありません。

 

 

[1]:https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001278556.pdf?utm_source=chatgpt.com 

“労働時間適正把握ガイドライン”

[2]: https://www.mhlw.go.jp/content/000900450.pdf?utm_source=chatgpt.com

“ア 自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。”

[3]: https://www.mhlw.go.jp/houdou/0104/h0406-6.html?utm_source=chatgpt.com

“「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置”

 

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