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2026.8.12

「36協定」とは?~介護・福祉事業所の残業や休日出勤との関係を解説~

介護・福祉の現場では、利用者への対応が予定より長引いたり、急な欠勤によって勤務を延長したりすることがあります。

また、サービス提供後の記録、職員間の引継ぎ、会議、研修、事故や緊急時の対応などにより、所定の勤務時間を超えて働く場面も少なくありません。

このような時間外労働や休日労働に深く関係するのが、一般に「36協定」と呼ばれる労使協定です。

 

👉★👉★\36協定は、残業代を支払うための書類ではなく、

職員に法定時間外労働や法定休日労働をしてもらうために必要な労使協定です/★👈★👈

 

 

36協定とは

36協定とは、労働基準法第36条に基づく「時間外労働・休日労働に関する協定」の通称です。

労働基準法では、使用者が労働者を働かせることができる時間について、原則として次の上限が定められています。

 

 

この法定労働時間を超えて働いてもらう場合や、法定休日に働いてもらう場合には、使用者と労働者側で36協定を締結し、あらかじめ管轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。

 

つまり、36協定は、職員に法定時間外労働や法定休日労働をしてもらうための法的な前提となる手続きです。

残業代を支払っているからといって、36協定が不要になるわけではありません。

 

 

介護・福祉の仕事とどう関係する?

介護・福祉事業所では、次のような場面で時間外労働が発生する可能性があります。

 

 

 

これらの業務も、使用者の指示によって行われている場合や、実施せざるを得ない状況を使用者が認識している場合には、労働時間として扱われる可能性があります。

勤務終了後の記録入力なども含め、実際に働いた時間を適切に把握することが重要です。

 

 

「所定時間を超えたら、すべて36協定の残業」ではない

 

残業を考える際には、「所定労働時間」と「法定労働時間」を区別する必要があります。

 

 

例えば、所定労働時間が1日7時間30分の職員が8時間働いた場合、所定労働時間は30分超えていますが、原則的な労働時間制では1日8時間までは法定労働時間内です。

給与計算上の割増賃金や36協定の上限を管理する際には、この違いを正確に理解しておく必要があります。

なお、1か月単位の変形労働時間制などを導入している事業所では、法定時間外労働の判定方法が通常の労働時間制と異なります。

 

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シフト制でも36協定は必要

 

シフト制は、勤務日や勤務時間帯を勤務表によって決める働き方であり、時間外労働を自由に行わせるための制度ではありません。

シフト制であっても、法定労働時間を超えて働いてもらう可能性がある場合や、法定休日に勤務してもらう可能性がある場合には、36協定が必要です。

また、変形労働時間制を導入している場合も、制度上の法定労働時間を超えて働いてもらうときは36協定が必要です。

「シフト制だから大丈夫」「変形労働時間制だから残業にならない」という考え方は適切ではありません。

 

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36協定を提出すれば、何時間でも残業できる?

 

36協定を締結して届け出ても、無制限に時間外労働を行わせることはできません。

 

 

臨時的な特別の事情があり、特別条項付きの36協定を締結している場合でも、次の上限を超えることはできません。

 

 

特別条項は、「人手不足だから」「いつも業務が忙しいから」という恒常的な理由で利用するものではありません。

通常予測することができない業務量の大幅な増加など、臨時的な特別の事情がある場合に限られます。

 

 

介護・福祉事業所で注意したいポイント

 

1.事業所ごとの締結・届出を確認する

 

36協定は、原則として事業場単位で締結・届出を行います。

複数の事業所を運営している法人では、本社で届出をしているだけで、すべての事業所が当然に対象になるとは限りません。

各事業所について、協定の締結状況、対象業務、有効期間、届出状況を確認しましょう。

 

2.労働者代表を適正に選出する

 

労働組合がない場合は、事業場の労働者の過半数を代表する者と協定を締結します。

法人や管理者が一方的に指名することはできません。

正社員だけでなく、パートやアルバイトなども含めた事業場の労働者を基準に考えます。

 

3.有効期間を確認する

 

36協定には有効期間があります。

過去に一度提出していれば、その後も継続して適用されるわけではありません。

更新時期を管理し、有効期間が切れる前に次の協定を締結・届出する必要があります。

 

4.実際の残業時間を把握する

 

勤怠システム上の時間だけでなく、記録入力、研修、会議、電話対応、持ち帰り業務なども含め、実態に即して労働時間を確認しましょう。

 

5.残業代の支払いは別に必要

 

36協定を締結していることによって、残業代の支払いが不要になるわけではありません。

実際に行った時間外労働、休日労働、深夜労働について、必要な割増賃金を支払う必要があります。

 

 

36協定は職員がいつでも確認できるようにする

 

36協定は、労働基準監督署へ届け出れば手続きがすべて完了するわけではありません。

使用者には、締結した36協定の内容を労働者へ周知する義務があります。

管理者や法人本部だけで保管するのではなく、その事業所で働く職員が必要なときに内容を確認できる状態にしておく必要があります。

 

・各事業所の見やすい場所に掲示する、または備え付ける

・書面を職員へ交付する

・パソコンや社内システムなどに保存し、職員がいつでも確認できるようにする

 

電子データで保存していても、一部の管理者しか閲覧できない設定になっている場合や、現場職員が保存場所を知らない場合には、十分な周知とはいえません。

「どこに保管されているのか」「どのように確認するのか」まで職員へ伝えておくことが大切です。

 

 

管理者が確認しておきたいこと

 

・事業所に適用される36協定が締結・届出されているか

・協定の有効期間が切れていないか

・時間外労働や休日労働の上限がどのように定められているか

・現場の残業時間が協定の範囲を超えていないか

・職員がいつでも36協定を確認できる状態になっているか

・保管場所や確認方法を職員へ案内しているか

 

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現場職員も内容を確認する

 

36協定は、管理者だけに関係するものではありません。

現場職員にとっても、自分が勤務する事業所で、どのような業務について、どの程度の時間外労働や休日労働が予定されているのかを確認するための重要な書類です。

 

・36協定がどこに保管されているか

・協定の有効期間はいつまでか

・どのような場合に時間外労働や休日労働を行うことになっているか

・1か月・1年間の時間外労働の上限

・特別条項が設けられているか

・実際の残業時間が正しく勤怠へ記録されているか

 

36協定に定められた時間は、「必ずその時間まで残業しなければならない」という意味ではありません。

また、協定の範囲内であっても、管理者の指示がないまま自由に残業できるという意味でもありません。

 

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就業規則と併せて確認できる環境を整える

 

 

管理者は書類を適正に整備・周知し、現場職員は自分の働き方に関係するルールを確認することが重要です。

「管理者しか見たことがない」「どこにあるか分からない」という状態にならないよう、事業所全体で確認できる環境を整えましょう。

 

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管理者も対象外とは限らない

 

介護・福祉事業所では、管理者やサービス提供責任者、児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者などが、現場対応と管理業務を兼務していることがあります。

役職名に「管理者」「主任」「施設長」と付いていても、労働基準法上の管理監督者に自動的に該当するわけではありません。

職務内容、権限、勤務時間の裁量、待遇などを総合的に判断する必要があります。

 

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まとめ

 

36協定は、職員に法定労働時間を超えて働いてもらう場合や、法定休日に働いてもらう場合に必要となる重要な労使協定です。

介護・福祉の現場では、利用者対応、急な欠勤、記録、引継ぎ、会議、研修、緊急対応などにより、時間外労働が発生しやすい傾向があります。

 

そのため、単に36協定を提出するだけではなく、事業所ごとの締結・届出、労働者代表の選出、有効期間、実際の時間外労働、割増賃金の支払いまで継続的に確認することが大切です。

 

36協定は、法人本部や管理者だけが管理する書類ではありません。

就業規則と同様に、その事業所で働く職員がいつでも内容を確認できるように周知する必要があります。

管理者は適正な締結・届出・更新・労働時間管理を行い、現場職員も協定の内容や保管場所を確認しておきましょう。

 

36協定は、残業を自由に行わせるための書類ではありません。

職員の健康を守り、適正な労務管理を行いながら、必要な時間外労働や休日労働の範囲を労使で確認するための仕組みです。

人員不足を時間外労働だけで補うのではなく、業務内容、職員配置、シフト、記録方法なども併せて見直し、無理のない職場環境を整えていきましょう。

 

 

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※本稿は、一般的な労務管理の考え方を整理したものです。

個別の勤務形態、変形労働時間制の採用状況、就業規則、雇用契約等によって取扱いが異なる場合があります。

具体的な対応については、管轄の労働基準監督署や社会保険労務士等へご確認ください。

 

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