――高齢者介護の現場から考える、美容という視点――
「美容」という言葉は、若い世代や女性向けのもの、という印象を持たれがちです。
しかし高齢者介護の現場では、年齢や性別を問わず“美容の視点”が心身の健康に大きく関わっていることが、日々の支援を通じて実感されています。
美容は“見た目”だけの話ではない
高齢期における美容は、単なる外見の問題ではありません。
身だしなみを整える、肌や髪を清潔に保つ、自分の好みを大切にする
――こうした行為は、自己肯定感や生活意欲の維持に直結します。
介護の現場でも、表情が明るくなる、会話が増える、活動量が上がるといった変化が見られることは少なくありません。
「若々しさ」とは、機能と意欲のバランス
若々しさは年齢で決まるものではなく、
・体を動かす力
・生活リズム
・他者と関わろうとする意欲
こうした要素の積み重ねによって保たれます。
スキンケアや整容、服装への配慮といった美容の要素は、これらを支えるきっかけづくりとして有効です。

男女問わず大切にしたい視点
美容=女性、という考え方はすでに過去のものです。
男性であっても、髭剃りや整髪、清潔感のある服装は生活の質に影響します。
「自分らしくありたい」という思いを尊重することは、介護における個別性の支援とも深く結びついています。
日常の中でできること
特別なことをする必要はありません。
・本人の好みを把握する
・鏡を見る機会をつくる
・「似合っていますね」と声をかける
こうした小さな関わりが、心身の活性化につながります。
介護だからこそ、美容を大切にする

高齢者介護は「できなくなったこと」を補う支援だけではありません。
その人がこれまで大切にしてきた価値観や習慣を、どう日常に残していくかが問われます。
美容の視点は、年齢を重ねても自分らしく、前向きに生きるための重要な要素です。
若々しさと健康は、特別な人だけのものではありません。
介護の現場だからこそ、美容という切り口を通して、
その人の「これから」を支える関わりが求められています。
令和という時代は、
「年を重ねること=衰えること」と一括りにされる時代ではありません。
価値観が多様化し、年齢や性別に縛られず、自分らしさを選び続けることが当たり前になりつつあります。
老いていくことは、何かを手放す過程ではなく、
これまで積み重ねてきた人生に、その人らしい彩りを重ねていく時間でもあります。
美容や身だしなみを大切にすることは、その意思表示の一つに過ぎません。

介護の現場は、
「できなくなったことを支える場所」から、
「これからの生き方を支える場所」へと役割を広げています。
令和を生きる高齢者が、年齢を理由に諦めることなく、
自分らしく、誇りを持って日常を重ねていく。
その土台を支える一つの視点として、
これからも“美容”は、静かに、しかし確実に意味を持ち続けていくはずです。
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