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2024.7.5

【2024年度介護報酬改定対応】認知症対応型通所介護(デイサービス)の基準とは

認知症対応型通所介護を開業しようと考えている皆様の中には、「認知症対応型通所介護ではどんな職種を雇用する必要があるの?」や「認知症対応型通所介護の人員基準を満たせなかったらどうなるの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

 

この記事では、認知症対応型通所介護(単独型、併設型、共用型)の人員基準と、それを満たさなかった場合の対応についてご紹介していきます。

どんなサービスがあるの? – 認知症対応型通所介護 | 公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 (mhlw.go.jp)

 

 

 

## 認知症対応型通所介護(デイサービス)の人員基準とは

 

認知症対応型通所介護の人員基準は、単独型および併設型の場合、管理者が常勤で1人、生活相談員が1人以上、機能訓練指導員が1人以上、介護職員または看護職員が2人(単位ごと、及びサービス提供時間に応じた配置)以上という基準が定められています。

人員基準を満たしていないと指定申請を行うことができないため、開業予定日に間に合うように計画的に人材の採用を進める必要があります。

介護サービス関係Q&A |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

  • 生活相談員 (社会福祉士等) 事業所ごとにサービス提供時間に応じて専従で1以上
  • 看護職員 (看護師・准看護師) 介護職員 単位ごとに専従で1以上+サービス提供時間に応じて1以上
  • 通常の通所介護サービスの場合、利用者15人までは1人以上、認知症対応型通所介護の場合は12人以下で1人以上
  • 常勤1名の管理者や生活相談員を事業所1カ所に1人以上配置することなど細則があります
  • 看護職員は、利用定員10名以上において1名以上配置すること、介護職員は利用者15名までは1名、利用者が5名増すごとに1名の配置です
  • 生活相談員と看護職員または介護職員は、サービスの提供時間によって1人以上配置する義務があります

 

 

### 認知症対応型通所介護(単独型・併設型)の人員基準

 

認知症対応型通所介護は、認知症のある利用者様に限定したデイサービスです。認知症の特性に配慮したサービス形態であることから、一般の通所介護と一体的に実施することは認められていません。

単独型の認知症対応型通所介護とは、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、社会福祉施設または特定施設に併設されていない類型のことをいいます。一方、それらの施設に併設されている事業所の場合、併設型の認知症対応型通所介護となります。

ここからは、単独型および併設型の認知症対応型通所介護の人員配置基準を詳しくご紹介します。

令和6年度介護報酬改定について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

 

#### 認知症対応型通所介護(単独型・併設型)の人員配置基準

 

【管理者】

 

単独型および併設型の認知症対応型通所介護の管理者の人員配置基準は以下の通りです。

 

配置基準/ 資格要件

 

常勤専従で1人/厚生労働大臣が定める研修 ※1を修了している者 |

 

※1 厚生労働大臣が定める研修とは、「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準に規定する厚生労働大臣が定める者及び研修(平成24年3月13日厚生労働省告示第113号)」に記載があり、「単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所、共用型指定認知症対応型通所介護事業所、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型共同生活介護事業所及び指定看護小規模多機能型居宅介護事業所を管理及び運営していくために必要な人事管理、地域との連携その他の事項に関する知識及び技術を修得するための研修」のことを言います。

 

管理者は、以下の場合であって事業所の管理業務に支障がない場合のみ他の職務を兼ねることができます。

【速報】認知症対応型通所介護 2024年度介護報酬改定単価 – ケアニュース by シルバー産業新聞|介護保険やシルバー市場の動向・展望など幅広い情報の専門新聞 (care-news.jp)

 

– 単独型・併設型の認知症対応型通所介護事業所の従業者としての職務に従事する場合

– 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、他の事業所、施設等の管理者または従業者としての職務に従事する場合

 

 

【生活相談員】

 

単独型および併設型の認知症対応型通所介護の生活相談員の人員配置基準は以下の通りです。

 

配置基準/資格要件

 

専従で提供日ごとの勤務延時間数をサービス提供時間数で割った数が1人以上/社会福祉主事、社会福祉士、精神保健福祉士、それらと同等以上の能力を有すると認められる者

 

生活相談員の勤務延時間数には、利用者様の地域生活を支える取り組みのために必要な以下のような時間も含めることができます。

 

– サービス担当者会議や地域ケア会議に出席するための時間

– 利用者宅を訪問し、在宅生活の状況を確認した上で、利用者様の家族も含めた相談・援助のための時間

– 地域の町内会、自治会、ボランティア団体等と連携し、利用者様に必要な生活支援を担ってもらうなどの社会資源の発掘・活用のための時間

 

 

【機能訓練指導員】

 

単独型および併設型の認知症対応型通所介護の機能訓練指導員の人員配置基準は以下の通りです。

 

配置基準/資格要件

 

1人以上/理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師(※) 

 

※ただし、はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6ヵ月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限ります。

 

 

【介護職員・看護職員

 

単独型および併設型の認知症対応型通所介護の介護職員または看護職員の人員配置基準は以下の通りです。

 

配置基準/資格要件

 

2人以上/専従で1人以上及び勤務している時間数の合計をサービス提供時間数で割った数が1人以上。常時1人以上となるように配置。看護職員は看護師もしくは准看護師、介護職員は資格要件なし。※看護職員については、必ずしも配置しなければならないものではありません。

 

同時に一体的に提供が行われる認知症対応型通所介護サービスのことを「単位」と言います。例えば、次のような場合は2単位として扱われ、それぞれの単位ごとに介護職員または看護職員を確保する必要があります。

 

– 認知症対応型通所介護(単独型・併設型)が同時に一定の距離を置いた2つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われているとはいえない場合

– 午前と午後で別の利用者様に対して認知症対応型通所介護(単独型・併設型)を提供する場合

 

 

 

### 認知症対応型通所介護(共用型)の人員基準

 

共用型の認知症対応型通所介護とは、認知症対応型共同生活介護事業所、地域密着型特定施設、地域密着型介護老人福祉施設の居間、食堂、共同生活室を使用して実施する類型を指します。

ここからは、共用型の認知症対応型通所介護の人員配置基準を詳しくご紹介します。

 

 

#### 認知症対応型通所介護(共用型)の人員配置基準

 

【管理者】

 

認知症対応型通所介護(共用型)の管理者の人員配置基準は、単独型・併設型と同様で、厚生労働省が定める研修を修了している職員を常勤専従で1人配置する必要があります。

 

 

【従業員】

 

認知症対応型通所介護(共用型)の生活相談員、機能訓練指導員、介護職員または看護職員の人数は、認知症対応型共同生活介護事業所等の各事業ごとに規定する従業者の員数を満たすために必要な数以上を配置することで満たすことができます。

 

 

 

 

## 認知症対応型通所介護(デイサービス)の指定基準とは

 

認知症対応型通所介護の指定基準とは、指定を受けるために満たさなくてはいけない基準で、人員基準以外に運営基準、設備基準が定められています。開業前に行う指定申請では、このうち人員基準と設備基準を中心に満たしていることを証明するための書類を作成・提出することになります。

 

 

 

### 認知症対応型通所介護(デイサービス)の運営基準とは

 

認知症対応型通所介護の運営基準には、事業所が適切なサービスを提供するために、提供するサービスの内容や提供方法、必要な書類や記録、取り組みなどが規定されています。

 

【認知症対応型通所介護の運営基準の項目例】

 

– 内容および手続きの説明と同意

– サービス提供拒否の禁止

– サービス提供困難時の対応

– 受給資格等の確認

– 要介護認定の申請を援助

– 心身の状況等の把握

– 居宅介護支援事業者等との連携

– 法定代理受領サービスの提供を受けるための援助

– 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供

– 居宅サービス計画等の変更を援助

– サービス提供の記録

– 利用料等の受領

– 保険給付の請求のための証明書の交付

– 管理者の責務

– 運営規程

– 勤務体制の確保等

– 業務継続計画の策定等

– 定員の遵守

– 非常災害対策

– 衛生管理等

 

 

### 認知症対応型通所介護(デイサービス)の設備基準とは

 

認知症対応型通所介護の設備基準には、食堂や機能訓練室などの最低限設置しなくてはならない設備や備品などについて定められています。

 

【認知症対応型通所介護で必要な設備・備品の例】

 

– 食堂

– 機能訓練室

– 静養室

– 相談室

– 事務室

– 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備

– その他認知症対応型通所介護の提供に必要な設備・備品

 

 

 

 

## 認知症対応型通所介護の人員基準に違反するとどうなる?

 

認知症対応型通所介護では、人員基準を満たせなければ、指定権者(市町村)から指定を受けることができず、開業することができません。さらに、事業所を運営する中で、看護職員または介護職員が人員基準を満たしていない場合、以下のような人員基準欠如減算が適用されます。

 

【人員基準欠如減算の単位数】

 

– 基本報酬×70/100

 

従業員に欠員が生じている状況が継続する場合には、指定権者(市町村)から事業の休止等の指導を受けることがあります。その指導に従わずに事業を継続した場合、特別な事情がある場合を除き、指定取消等の行政処分を受けることもありますので注意しましょう。